さらば青春の光

 そんな中、実に一五年もの間お世話になったフランス菓子屋が閉店する事となり、万難を排して行ってまいりました。私にとってのスタンダード、本当にお世話になった店でもうなんと言ってよいのか……ただ、少しでもその場所にいたくて、無理を言ってゆっくりと過ごさせていただきました。その間にも多くの方が訪れ、長年に渡って愛されるというのはこういうことだ、と改めて感動した次第。
 かつて私が『店主』だったときに、色々と迷走していたときがあり、シェフに

「今の君の立場では叱る人はいないだろう。だから僕が叱る。」

といって、親身になって叱ってくれた事は忘れられません。あれから十年以上経ちましたが、今を以て金言であり、これからも私の標である事でしょう。
 十五年間ありがとうございました、願わくはまた『再会』出来ますことを。