本日のお題の理由

 すっかり日も暮れたタイミングでG clefへ。『雨が降った日』『夕暮れ時』と個人的にはダージリンを味わうのにもっとも適した条件です……いえ、これは一般的には決して良いコンディションとは言い難いのですが。
 ということで『ダージリン ファーストフラッシュ バラスン農園 DJ-49 SFTGFOP1 China Classic』を試飲。今回入荷したシンブリ、バラスンともに『熟成感』溢れ、或る意味典型的なファーストに見られる『清涼感』には欠けるのですが、それを補ってあまりある味わいです。店主が「典型的なのは他でも飲めるじゃないですか」という気持ちなのかどうかはわかりませんが、この手の拘りは大好きです。
 前述のシンブリはおよそダージリンという茶葉の個性を余すところなく押さえた名品だと思うのですが、バラスンはむしろダージリンってこういう味だったよね、と再確認させてくれる味わいでしょうか。あんまり古い話はしたくないのですが、クローナルの華やかさが『典型』となる前、『中国種』としての個性を強く漂わせていた頃の味わいですね。ただの懐古趣味ではなく、口の中で広がる香りや冷めた後のバランスの良さ、むしろ強く感じる甘さなど、これもまたダージリンのよさを存分に現していると思います。華やかさには欠けるかも知れませんが、だからこそ大事に味わいたいそんな『端正』さがあります。